月刊 茶句里 SAKURI

sakuri.exblog.jp
ブログトップ | ログイン

カテゴリ:四季の彩( 73 )

雨水

 旧暦では、2月19日の今日は「雨水」の日。
 「雪散じて水と為る也」の言われるように、水がぬるみ、土が潤い草木が芽生えはじめる頃ですよ、と先人のまなざしが教えてくれます。
 これからいよいよ、春が花開いてゆくのですね。
 みなさんは、今日、どんな春に出会いましたか?

a0144052_20401566.jpg


昨年末に、いつも整体にお越しくださっているSさんがお贈りくださった旧暦のカレンダー「歌こころカレンダー 自然 二〇一六」。毎日顔を合わせて、ときめいています。
いつもの空間のなかに、すっきりと伸びた時間の背骨がそこにあるような、清々しい心地が流れています。(みなさま、いつも素敵なお心遣いをいただきまして、心から、ありがとうございます。)
a0144052_20411704.jpg


a0144052_20401613.jpg


お雛様も雨水の日に出すのだそう。一日のお客さまをお見送りしたあとに、お雛様の風呂敷をかけました。

【★】
 私がはじめて二月の「雨水」を知ったのは、詩人の長田弘さんが紹介されていた、木下杢太郎の詩「賀茂川の葵橋の上で」のなかでした。

低い山竝(やまなみ)のつらなりをつつむ
淡い空気の色が、遠くから
やわらいできている。
二月、雨水の頃、
京都賀茂川の葵橋を渡っていて、
思わず、立ちどまった。
空の青さはまだない。
風もまだおそろしく冷たい。
足元から冷えがすーっと上ってくる。
けれども、橋の上から見る
北山の、山ぎわの、色感の懐かしさ。
萌黄色が微かに染みだしている
あわいの季節の、灰青色の景色の慕わしさ。
浅く穏やかに流れてゆく
賀茂川の、さやさや、さやさや
途絶えることなくつづいている水の音。
オナガガモが、群れなして、音もなく
飛び立ってはまた、静かに舞い降りてきた。
わたしは希望について考えていた。
そして、醍醐寺からの帰りに、タクシーの
運転手の言ったことばのことを考えた。
梅の開花が遅れとるようやけど、
言うても、梅のことやさかい、
時季がくると、それなりに、
そこそこは、咲きよるけどな。......
希望というのはそういうものだと思う。
めぐりくる季節は何をも裏切らない。
何をも裏切らないのが、希望の本質だ。
めぐりゆく季節が、わたし(たち)の希望だ。
死を忘れるな。時は過ぎゆく。季節はめぐる。
今夜は、団栗橋角の蛸長に、
花菜(菜の花)のおでんを食べにゆく。


 日々整体に仕えながら、大切に思うのは、立ち止まる時間です。 
 季節に寄り添い、寄り添われ、一日いちにちの景色を味わいながら過ごしてゆきたいですね。
by mille-ka | 2016-02-19 23:50 | 四季の彩

春の足音

a0144052_23432092.jpg


今日も気持ちのいいお天気でしたね。
ふと目を向けると、外堀沿いには黄色いお花が。桜の木々の枝先には蕾がついていました。
寒さはいよいよ本番を迎えるなか、ときの足元では着々と、春の準備が進んでいるようです。
a0144052_23432118.jpg

a0144052_23432102.jpg


節分の日を迎え、玄関先で鬼を払ってくれていた豆殻と柊は、無事にお役目を終えました。
これからも、よい日々でありますように.・*
by mille-ka | 2016-02-03 23:55 | 四季の彩

雪景色

今日は朝から雪景色。
こんなにあたたかくて大丈夫かしら、と地球の体調をうかがっていた今年の冬。昨夜を境に東京はひとっとびに冬一色になりました。
みなさまどうか、今日は特に足元に気をつけて、あたたかくされてお過ごしください。
急な変化には心も体調も乱れがちになりますが、こんなときこそ呼吸をくつろがせて背筋を伸ばして過ごしたいですね。
a0144052_10412891.jpg

部屋の窓から
by mille-ka | 2016-01-18 10:40 | 四季の彩

新春万福

 新年 おめでとうございます。
 2016年が、みなさまにとって心安らかな、喜びあふれる毎日でありますよう、心からお祈り申しあげます。

 みなさま、お正月はいかがお過ごしでしたか?
 私は、元旦は実家近くの神社に初詣へ。二日には、神楽坂へ戻る前に映画館で「スター・ウォーズ」を観てきました。
 映画の感想は…「大吉!」
 「こんな世界を観てしまってどうしよう」とハラハラするほど臨場感あふれる迫力満天の映像。魅力的なキャラクターたち。ストーリー全体にお腹いっぱいになって、胸のうちは、興奮しつつも、どしんと爽快。
 宇宙を舞台にしたスケールの大きな話のようで、軸足は生身の人間である限り持ち合わせる葛藤や愛情、「血」(親子関係や肉体の限界という意味で)というものにあるところに、なんとも言えず惹かれました。
 これまで、どんな映画が好きかと聞かれると、ひとつの町のなかで話が完結する映画、と答えていたのですが、新年のはじまりから、好みの幅がぐんと広がりました。
 思えば、スター・ウォーズをはじめからおわりまでちゃんと観たのは、はじめてのこと。
 小さい頃には、テレビの日曜洋画劇場で放映しているのをそれとなしに観たことがありますが、今となっては記憶は曖昧。今回、スター・ウォーズの最新作を観たあとに、心を躍らせながら前作までの復習をしていました。
 自分のなかに「好き」の引き出しが増えるって、嬉しいですね。

 今週、整体初めを迎えました。
 年のはじまりに観た映画そのものをおみくじに見立てると…
 「先人の志を受け継ぎ、喜びも悲しみも自分の選んだ道にゆだねて、支えてくれてる人たちと力を合わせて、愛をもって、力強く進んでゆきなさい」
 本年も、整体師として精進を重ねてまいります。

 みなさまもどうか、この一年、よい日々でありますように
 整体とともにあることを、願っております
a0144052_11325402.jpg

お正月に活躍した、干支の箸置き♪
a0144052_01131422.jpg

プライベート用の手帳を新調しました。。
by mille-ka | 2016-01-05 23:55 | 四季の彩

はじめての

 11月のはじまり。
 来週の8日は、立冬。立冬を迎えると、暦のうえではいよいよ冬の到来ですね。
 こんな季節の変わり目に、きらりと嬉しくなる幸せな一点。それは、ひとつひとつの「はじめて」に出会えることです。
 それぞれの季節が連れてくる「はじめて」との再会のときは、もうそのときそのものが喜ばしいアニバーサリー。

 はじめて、カーディガンに袖を通した朝。
 はじめて、目にする道ばたのドングリ。
 はじめて、ブーツを履いて出かけた休日。
 はじめて、友だちの頭にのってゆれていたニット帽。
 はじめて、ココアだけを片手にレジに並んだ夕べ。
 はじめて、毛布のぬくもりに安らいだ夜。

 「この秋、」をそれぞれのあたまにつけて、たくさんの「はじめて」を迎える今の時期。「この冬、」の「はじめて」にとって変わる日もすぐそこにひかえています。

 今日は、久しぶりに雨降りで迎えた朝ですね。
 雨音を聞きながら過ごす時間は、自分の気持ちの声が、そっといつもより近くに感じられます。
 
 みなさま、どうかあたたかくされて、良い一日を。
 今日も一日、心躍る「はじめて」との出会いに気づける一日でありますように。

a0144052_22460384.jpg


先日、散歩の帰りに出会った「この秋、はじめて」の…。
by mille-ka | 2015-11-02 08:47 | 四季の彩

秋空

 このところ、毎晩、月がきれいで、夜空を見上げるたびに心が洗われる心地がします。
 月が白く燦然と輝きを放てるのは、秋の空気が澄んでいるからなのですね。
 今日も、東京は爽やかに晴れて、気持ちのいい朝のはじまりを迎えました。
 今夜は、満月。
 その姿に出会えるのが、今から楽しみです。
a0144052_09383987.jpg


(夏のおわりに、ハッと惹かれて手に取ったネックレス。月と太陽。月と地球。
明日は満月だなあ、と心を潤わせながら、仕事のあとのおでかけに、昨晩はじめて身につけました。)


 秋の虫の音が光るように夜道に鳴り響いていたのは、ちょうど先月の今頃でした。
 そんな虫の音もいつのまにか去ってゆき、思わず襟もとやストールを首元にたぐり寄せたくなる冷たい空気が夜道に流れるようになりましたね。

 秋の深まりとともに空気が澄んできたかと思えば、先週末あたりからは、しんとした冷気に染まり、朝晩の冷え込みがぐんと強まってまいりました。
 どうかみなさま、おからだを冷やされませんように。

 寒さが加わってくる今の時期は、熱を逃すまいとからだがちぢこまって、骨盤も閉まりがちになります。すると、自然と肩も前へ出て、前のめりな猫背の姿勢になり、息も浅くなってしまいます。

 そんなときには、いつもより少し大股で歩いてみてください。
 20歩から30歩ほど、普段の一歩に一足分加えた歩幅で歩くと、骨盤に弾力が取り戻されて、呼吸も自然と深まり、冷えにくいおからだになります。
 
 太ももの裏は、整体では発汗に関わるポイントでもあります。
 大股で歩くことで太ももの裏が伸びると、発汗がスムーズになり、冷え性の予防と解消にもなるんですよ。
 今夜出会えるのお月さまのように、ふっくら明るい静かな心身で、新しい季節を迎えたいですね。
by mille-ka | 2015-10-27 10:05 | 四季の彩

うつろい

 夕方、ひと息つこうとベランダへ出ると、淡く澄んだ青空には、ひつじ雲の群れが広がっていました。
 子どもの頃、学校や公園からの帰り道にめずらしい形をした雲の姿を見つけると、部屋でひとり、新しい出会いを報告するように図鑑を開いては、今日目にした雲の名前を確認することがひそやかな楽しみとなっていました。
 名前を知り、その雲のでき方を知ったときの、胸のなかで無数の喜びの泡が弾けるような感触。
 その感触がよみがえるのでしょうか。今でも、特徴をもった雲の姿にひきとめられるたび、誰かに話しかけたくなるような、そわそわとしたときめきにくすぐられます。

 ひつじ雲は秋の雲。
 日中は、もくもくとふくらんだ真っ白い夏の雲が浮かんでいましたが、夕方の空に招かれていたのは、もう秋の雲でした。
 朝夕の風も平静を取り戻し、季節は着実に、次の舞台へと開かれているようです。

 夏祭りの灯り。遠くで聴こえる太鼓の音。夜空を賑わせる打ち上げ花火。どれもが過ぎゆく夏の日の彩り。
 春から夏への移行期は、照りつける太陽に目を細めて汗を流したかと思えば、すとんと寒さが戻ってきたり、明けるともしれない雨の日が続いたり…と、せわしない日々が駆けてゆくとき。
 それに比べて、夏から秋へうつろいは、朝夕の風に新たなの季節の到来を感じながら、ゆったりとした時間の流れのなかで、悠々と秋の気配が深まってゆくように感じられます。秋への移行期は、平常心を取り戻すとき。そんなふうにも感じられるのです。

 「ここへ来て整体をしていただくと、やっと、帰ってきた、と思えるんです」。
そう言って、くつろいだ笑顔を贈ってくださったのは、毎年、お盆と年末に赴任先の海外から日本に帰国されるたび、整体を受けにいらしてくださるYさんです。
 
 からだが整う。ああ、この落ち着きがからだ本来の安らぎなのだと気がつく。自分の居場所がこのからだにある。そう思える今がある幸せ。そんな健やかな喜びを世界と人と分かち合える、整体の力。
 夏の思い出をなぞりながら、からだの平常心を取り戻して、秋へのうつろいを味わって過ごしてゆきたいですね。 
by mille-ka | 2015-08-11 23:50 | 四季の彩

暦のうえでは…

 今日は立秋。
 そんな暦の便りを配るように、街を通る風、部屋のカーテンをふくらませる窓辺の風が、昨日までのそれとは衣を変えたように、ぐんと澄んで、ひんやり、さわやかに感じられました。

 夏のさなか、都心から電車に揺られて1時間ほど先のところにある、緑の豊かな街にでかけたとき、木陰では風がきちんと涼しいことにはっとすることがありました。
 東京の風はくたびれている。陰も日なたも関係なく、むわっと熱風のこもる東京の夏を思い、風もまた、コンクリートや室外機の熱に気を奪われて本調子ではいられなかったのだな、と同情を寄せつつ淋しくも感じていました。

 ところが、このところの朝晩に出会う、まるみを帯びた澄んだ風。いちだんと涼やかな今日の風。
 人も街も風も、日々新しく生まれ続けているのですね。

 七月、八月は、毎年夏休みを利用して遠方からもお越しくださるお客さまにも恵まれて、休みの日を設けず整体をお届けしております。
 毎日、新しく生まれ続けながら、みなさまのご来院を、心よりお待ちしております。

 もうしばらく残暑がつづくようですが、みなさまもどうか、風にふれ、移ろいゆく自然の今に寄り添って、心地よい毎日を.・*
by mille-ka | 2015-08-08 23:50 | 四季の彩

「太陽と満月」

 夏祭り。花火大会。夏休み。街の気配のにぎやかな七月とも、ついに、今日でお別れ。
 七月はおわりを迎えても、この暑さとはまだお別れはできず…。
 炎暑。この言葉に苦笑いを浮かべてうなずけるような、めらめらとした陽射しの照りつける日がつづいていますね。

 ところで、みなさま、今夜のお月さまはご覧になりましたか?
 一日の整体を終えて、外を歩きながら夜空を見上げると、こうこうと輝くみごとな満月が昇っていました。
 今日の満月は、ブルームーン。
 ブルームーンとは、ひと月に二回満月を迎えるときの、二回目の満月を指す呼び名です。
 ブルーとは言っても、月が青く見えるというわけではありません。
 呼び名の由来は諸説あるようですが、英語では"once in a blue moon“という表現が「きわめて稀なこと」を意味することから、なかなか起こらないめずらしい月として、このように呼ばれるようになったとの説も。

 めったに見られないブールームーン。(次回は 2018年1月31日!どんな「今」を過ごしているのでしょうか…)そのめずらしさゆえに、見ると幸せになれるとの言い伝えもあるそうです。

 一日のおわりに立ち止まる時間をもって、月の静けさと魅力にあやかりながら、残りの夏も、気持ちよく過ごしてゆきたいですね。

【♪】
タイトルに惹かれて聴きはじめたのをきっかけに、この夏の元気の源になっている一曲。
雨上がりの青空のきらめきが、胸のなかに広がる心地がします。

by mille-ka | 2015-07-31 23:30 | 四季の彩

春つれづれ

「おはようございます。天気予報でやたらと今日は暖かいと言っているので、思い切って春コートとスカーフにしました」
今朝子どもたちに届いた、母からのメールです。
春への装いのシフト、気持ちも軽やかになりますよね、と全員(母、兄、義理のお姉さん、妹)宛に早速返信。すると、お姉さんから、甥っ子の笑顔満開の写真と一緒に、桜の咲く頃に千葉の(ヒシカリの)両親宅に帰省しようかなと考えています、とのお返事が。
それではお日にち合わせましょう、と朝から会話が弾みました。

季節の変わり目の今の時期、冬の最後尾と春の先頭が行きつ戻りつ。三寒四温とは言い得て妙だとつくづく思います。
ただ、もう、二寒五温か…母が春のコートの装いに誘われたように、今日はぐっと暖かくなり、寒さのとげはすっかりなくなって、空気もいちだんとやわらかくうるんでいました。

母からメールが届く前のこと。
朝起きぬけに窓を開けたとき、一番に飛び込んできたのは、今までとは違ったその匂いでした。今年はじめて出会う、新しい季節到来の知らせをのせた外の匂い。
ふわりとむわりとのあわいに漂う外気の弾力に鼻がふれ、「あ、この匂い、知っている」。
そんな声とともに脳裏に立ち現れたのは、昔通っていた小学校の校庭のはじで構えていた、晴れた日の、水の張られる前のプールの映像でした。
春先に立ちのぼる土の匂い、だけではない、小学生のときに目にした水色の肌をさらしたプールの絵に結びつく「なにか」。今朝の外の空気に含まれた、匂いとともにあるその微妙な「なにか」を嗅覚が感じ取って、記憶のなかの映像を呼び起こしたのでしょう。
でも、なぜ、プール。そこにあった湿度が同じだったのかしら、と今も不思議に思えてきます。

今朝の春の空気の匂い。小学校のプールの映像。そのふたつを貫通して、にじみ出るなつかしさの感触。
今日目にした景色も、今日ふれた空気とともにからだに保存されて、この先どこかでなつかしく思い出されることがあるのでしょうか。

【☆】
ピースの又吉直樹さんの書かれた新刊『火花』(文藝春秋)、発売日の朝に買いました。
素晴らしい本です。
「漫才師」に出会い、つかまり、結ばれた人とひととの生き様が、熱さをたたえて静かに描かれています。
ページをめくるたび、胸の奥をつかまれて切なくなったり、笑いがこみ上げてきたり、背中を撫でられたり…自分という人間にぶつかってくるやわらかくて張りのある世界を閉じこめて広がる、そんな一冊。
本のなかに流れる愛情と眼差し、情動にうたれます。
前回、本の感想めいたものをご紹介しましたが、あとから読み返して自分の書いたもののお粗末さに落ち着かない気持ちになり、逆にご本に対して失礼なことをしているのではないかとも思えて胸が苦しく、いったん取り下げました。

人間。「師」のつく職業。声。
これらについてこれまで私の考えてきたことが、又吉さんの『火花』を読んでよりいっそう浮き彫りになった思いでいます。
感想にかえて、またあらためてこの場をお借りしてお伝えできるよう、腰を入れてもうしばらく問うてゆきます。
by mille-ka | 2015-03-17 23:55 | 四季の彩