月刊 茶句里 SAKURI

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カテゴリ:私の好きな言葉( 17 )

自分の仕事

 「だらだらすることと、怠けることとは違うんよ」。
 子どもの頃に、母がそう教えてくれたことを、今でもふと、思い出すときがあります。
 今日、車を運転してるときに、ラジオでおもしろいことを言ってたんだけどね、と母が教えてくれたのは、ある作家さんのこんな話でした。

 「だらだらする、ということは、何もしていないことではなくて、自分でだらだら〈している〉こと。だらだら〈する〉なんだから。
 でも、怠ける、ってことは、自分の仕事をしていないこと。
 例えば、行列のできてるお店の前にとりあえず並ぶこと。これやっといて、と上司から引き継ぎで頼まれた仕事を、自分の知恵を交えないで、言われたままにしかして返さないこと」。

 なるほどなあ、と思って。そう言って、目を輝かせながら、母は「だからね」とつづけて言いました。
 だからね、お母さんもあなたたちもね、休みの日にだらだらしてるのは、あれは「している」ひとつの運動なんやから、悪いことでもないんよね。そう思ったんよ。罪悪感が、あるじゃない。だらだらしてると、なんとなくね。でも、怠けてる、っていうことの方が、本人に罪悪感なんてないぶん、気をつけないとわからんことなんよね。指摘されても「どうして?」と思う人もいるやろうしね。

 休みの日に、部屋に光を招き入れようと、窓のカーテンに手がふれた瞬間。仕事前に、洗濯物を干そうと、ベランダに出て風の匂いをかいだ瞬間。仕事のあいまに、カフェで一服しようと、上り坂を歩きながらふと顔を上げた瞬間…。
その時々に、母の口にしていたこの話が不意に思い出されて、だらだらすることもほどほどに、何より、怠けてはいないかには注意して、自分の仕事を、と思いを新たにしています。
by mille-ka | 2015-05-27 09:40 | 私の好きな言葉

春の青空

まだところどころ雲が残るものの、昨日までのどんより空をはらって、今朝は明るくて気持ちのいいお天気ですね。
「春は、人を救う。他のどの季節よりも、弱い人の心を救ってくれる。だからみんな春が好きなのだ」。
私が心からお慕いしている女性、増田れい子さんの言葉です。

青空は、人を救う。
増田さんに倣って、そんなことを言いたくなるほど、幸せな心地のする今朝の空。
今日も、心とからだに青空が広がる、そんな整体をお届けします。
by mille-ka | 2013-03-26 08:58 | 私の好きな言葉

ふと、感想。

心が震えた言葉。胸を打つ話。今日いちにちの出会い。
すぐに言葉に残すと、言葉におさまらない曖昧な大切にしたい感触を忘れてしまう。そんな気がして、今はただ、からだの記憶にとどめておこう。そう思うことがあります。

毎日、たくさんの素晴らしいご縁をいただいています。
先月の半ばから、ほとんど毎日、お客さまをお迎えして整体をお届けしながら、ほとんど毎日、仕事のあとにはじめましてのかたたちとお会いすることがありました。

友人が招待してくれた上映会。ベルギーからいらした監督や、アフリカで現地の吟遊詩人を追って映画を撮っていたという文化人類学者のかたたちとわいわい飲んだり、語り合ったり、踊ったり。久しぶりのうかうかとした宴のひとときもありました。
器や雑貨の素敵なお店、「inkyo」さんを営まれながら文筆家としても活躍されている中川ちえさんと吉祥寺にある日用品のセレクトショップ「outbound」の店主をされている小林和人さん、カメルーンでバカ族の人たちに触れ合って映像を残して研究をされているという分藤先生。仕事を早めに終えて、おさんかたの対談と分藤先生のアフリカの写真展へとおうかがいした日もありました。整体の時間をお任せくださるちえさんからいただいた、素敵なご縁。その折には、対談をされたみなさんと楽しくお話をさせていただきました。まだ行ったことのない小林和人さんのお店、outboundさんにお邪魔することは、今楽しみにしていることのひとつです。
古本屋を開こうとしている友人が教えてくれて、「ぜひ、私も」と一緒に参加していた本屋さんの開業にまつわるセミナー。ブックディレクターの幅充孝さんをはじめ、移動型本屋さん「BOOK TRUCK」を運営されている三田修平さん、表参道の古本屋さん「日月堂」の店主、佐藤真砂さんのお話をうかがいすることもありました。
からだのとらえ方を深めたい。そう思って、仕事のあとに駆けつけたのは、武術家の甲野善紀先生のと大学の先生との対談会。精神科医の名越康文先生の勉強会。もう、感謝ばかりなのですが、はじめてお目にかかった名越先生からご縁をいただいて、先週末には整体の創始者・野口晴哉先生のご子息、野口裕之先生の講和会にはじめて参加し、四時間みっちり、整体脳と触感を耕してきました。
このからだと心のなかで、その時々の体験、学び、想いが発酵されて、思い出すなかで取り出されたとき、ぜひみなさんにお伝えできれば、と私自身も楽しみにしています。

「毎日眠ることは、毎日死ぬ練習をしていることと同じ」。
野口晴哉先生のこのことばが自然と浮かんでくるほど、一日いちにちが完結しながら翌日の一生につながっていく、新しい朝を迎える毎日を過ごしています。

今日は仕事のあとに、名越先生のお話をうかがいに参ります。
今日もいちにち、お店に足を運んでくださるみなさんに整体をお届けすることができて、明日も整体を受けに来てくださる大切な人たちがいる。そのことが何よりの活力の源になっています。

「自分の愛することを仕事に選べば、生涯一日たりとも働かなくてすむ」。そんな意味の孔子の言葉があります。
私の場合は、まだまだそう言える境地には達していませんが、それでもやはり、仕事も遊びも区別なく、すべてが整体につながっていると思える一日いちにちがあることに、ありがたい気持ちでいっぱいです。
それもすべて、見守ってくれる家族やお店に来てくださるお客さま、先生、大好きなお店のあたたかい人たちやまわりの人たちの存在すべてに支えられて実現している「今」があってこそ。
今日も時間を大切にして自分を活かしていこうと、あらためて思う、今朝の感想です。
by mille-ka | 2013-03-19 09:12 | 私の好きな言葉

非常に純粋なもの、徹底してる意欲、近年のものの美しさ。
「そういうものをぼくは無条件に好きだ」と、画家の梅原龍三郎氏が小林秀雄さんとの対談のなかでお話しされていた。
最近になってそのところを読み返したとき、小路苑さんのお花と店主の吉田さんの作られるお花の世界とが、自然と心のうえに浮かんできた。
私は、身近で手の届くところにある無条件に好きなものに出会えて幸せだ。

「ただ白き足袋がたのみや業平忌」
中村汀女さんの一句である。
その日、一流ばかりが集う業平忌の句会があった。会場に入るや尻込みをしかけた彼女にとって、唯一、足袋の白さだけが心の支えであった。
「女心のひとすじなさまが、清潔に鮮明に出ている名句だと思う」。
草柳大蔵氏はこの句について、ある本の中でそんな風におっしゃっていた。
一点に宿る確かな美こそ、背骨を支える自信につながり、気力の源となりえるものである。

花には、新しいものと古いものとがあるのではないように思う。
どの花も「ただ白き足袋」のように、その一輪の命を全うして輝いている。
そんなことを教えてくれた花々。

小路苑さんでいただいたお花が部屋の中にあると、あたたかくて凛とした生命に守られているような、静かで心強い気持ちに包まれる。
花自身と、その花を扱ったよき人との両方の志が、花の佇まいを囲って光っている。
何かことばにならない大切なメロディーのようなものが、花の方から流れ出ているようである。
花整体。
いずれ、そんな整体がしたいと思う。
by mille-ka | 2012-04-26 22:40 | 私の好きな言葉

「整体師の心がけ」

朝。窓の外は灰色の雨模様。
やまない雨はないとわかっていても、三日と太陽が姿を現さぬ日がつづけば、心もとなくなってくる。
気付けばそっと、心の窓に晴れ間を映して、先の天気を占っている。

気象キャスターをされていた倉嶋厚さんのエッセイの中に、第五代中央気象台長をつとめられていた藤原咲平博士が書き残された「予報者の心がけ」という話が出てくる。

「自分の力の範囲を確認し、その埒外に出ないこと。奇功を狙ってはいけない」。
「ただし十分な研究の結果、どうしても動かすべからず理由があってやるのはよい」。

整体師として働きはじめた10代のおわり、指名してくださるお客さまが増えはじめた頃にこの訓示に出会い、思わず手帳に書き留めていた。
以来、何事も大股でガツガツと進もうとする自分への戒めを込め、私の場合は「整体師の心がけ」として長らく胸にとどめてきたことば。
何年も前に出会ったことばで、その印象も薄れがちになっているけれど、天気を占おうとする時にはきまって、鮮明に思い出されることばである。

「正しい判断の妨げになるものの第一は私心、第二は不健康、第三はうぬぼれ」。
同じく藤原博士のことばとして紹介されていたもので、心に映しだされるたびに、気持ちの背筋がしゃんと伸びる。

今朝の雨は昼前にはあがり、午後には明るい空が広がっていた。
天気予報を見ていなかった私は、自分の占いが通じたようにも思われて、窓の外に広がる泣きやんだあとのような清々しくもうるんだ空に、思わず頬をゆるめていました。
by mille-ka | 2012-03-06 23:06 | 私の好きな言葉

開・拓 前夜

「治療に臨んでは地球を一つの大国だと思い、薬品・治療法・医学論まで、地球上で一番良いと思われものを選び、日に試み、月に験す」(『内科秘録』)。
幕末期の最高峰の医学者、水戸藩医として活躍した本間玄調の言葉です。

「医学に限らず、科学者は日常に安住せず、地球上で最良のものを入手し発展させる強い意志が必要だ」と、歴史学者の磯田道史さんは解説されていました(H22.10.30 朝日新聞・土曜版)。

心を大きく、視界を広く、境界線を定めずにとらえなければ、拓けない道がある。

ただし、坐禅や瞑想をしているうちに眠りに落ちてしまえば元も子もないように、真新しい景色に心を奪われ、そのまま背景に溶け込んでしまえば、その先の自分には出会えないもの。
どこにいようとも、いつであろうとも、今、自分が何をしているのかだけは忘れない、「意志」を、持とうと、すること。

明日ははじめましての勉強会の第一回目。

ご縁に感謝をして、自分を代表して参加してまいります。
by mille-ka | 2012-02-18 21:28 | 私の好きな言葉

追伸.

あれもこれもやりたくて、果たしてどこから手につければいいのかと、状況を把握する回線がこんがらがる朝。
机の上に何冊もの本やノートを広げたまま、空回りする気持ちがフリーズして、途方に暮れることが時折りあった。
そんなときにはきまって、「一度にすべてのことが同時に起こらないために、時間はただ存在する」とアインシュタインは言ったらしいということが思い出された。
思い出しながら、一度にすべてのことを同時にしたいとダダをこねる自分に降参をして、からまった糸を一本一本ほどいていった。

このことばが本当にアインシュタインの残したものなのかと出典を調べようとして、偶然に出会ったもうひとつのことばがある。
「永遠の命と思って夢を持ち 今日限りの命と思って生きるんだ━ジェームス・ディーン」。

さきほどまで電話会議で話し合っていた大切な友だちに、この場をお借りしての“追伸”です。
by mille-ka | 2012-01-13 23:59 | 私の好きな言葉

顔晴る日

「幸福だから笑うわけではない。むしろ、笑うから幸福なのだと、私は言いたい」。
フランスの哲学者、アランの言葉です。
何度心に浮かべても、新しい感動が心の背筋を伸ばしてくれます。

今日からお仕事はじめのかたも多いのではないでしょうか。
どうか、みなさんのまわりでも笑顔の循環する一日でありますように。

それにしても、今日も朝から爽やかな青空。
深呼吸をひとつ。
笑顔の原点を、今からここから。
by mille-ka | 2012-01-04 08:39 | 私の好きな言葉

続ける言い訳

「ことばだけでは救われない
だが、ことばなしでは生きられない
みんなが救われ、みんなが生かされる
そんなことばがあればいい」

先日、古本屋さんでふと手にとった本の帯にかかげられていたことばです。
司祭であられる奥村一郎氏の著書でした。

このブログを始めてから、先月の11月ではや2年。
当初から、ブログは2年間だけ、と決めていましたので、先月までそのことについて気持ちの中で思いを巡らせていました。
正直なところ、先月をこのブログの終着駅として、降りる、という方に気持ちの中の天秤は傾いていました。

「文は人なり」、と言われます。
その通りだと思います。
文章にはその人の感じ方(観じ方)の力量がはっきりと表れます。
「一切は空だと承知した歌人は、当時(=西行の生きた時代)沢山いただろうが、空を観ずる力量にはピンからキリまであって、その力量の程は、歌という形にはっきり現れるから誤魔化しが利かぬ」という小林秀雄のことばに触れた時、こわいな、と思いました。
こうして何気なく書いているような文章にも、「誤魔化しが利かぬ」自分の力量がみなさんの眼前にさらされることは、整体師として生活させていただいている私にとっては、無責任でいられない問題です。

私は、本が好きで本を読んできたいち読者として、自分の文章の質というものをまったく認めていません。
みなさんにこうしてこの場でお付き合いいただけることが嬉しい一方で、非常に恥ずかしい、という気持ちがいつも同居していました。
そんな混沌とした気持ちの終着駅を迎えようとしていた時、上記の奥村氏のことばを目にして、“なんか、いいな”と思いました。
“なんか、ことばって、やっぱりいいな”、と思えて、「私の」ことばだと思わずに、ここにこうしてある「ことば」の独立した力、可能性、といったものを信じられる、という気持ちになりました。
それが、この度の私の「続ける言い訳」です。
(ああ、真面目。。)
みなさま、いつもお立ち寄りくださいまして、本当にありがとうございます。
これからも、ぼんやり、薄目で、少し遠くから、読んで頂けると、とっても嬉しいです。
12月も残すところ2週間をきり、寒さもぐんと深まってきましたね。
どうか、ご自愛なさってお過ごしください。
by mille-ka | 2011-12-21 23:36 | 私の好きな言葉

言葉クッション

「意図せずして起こる出来事には、なにかすばらしい価値がある」
(『マスターズタッチ』 マ・サガプリヤ著より)

“ツイてないな…”と思いそうになる時、心の中で唱えてみてください。

「意図せずして起こる出来事には、なにかすばらしい価値がある」。

カラダの健康はココロを工夫して扱うことからも生まれ、健康なカラダからはココロの工夫が生まれます。
ココロを工夫して扱う手段には、言葉を選ぶことが欠かせません。

言葉は「自分そのもの」ですが、言葉を変えれば「自分そのもの」も一瞬にして変わるもの。
不確かな自分と、確かな言葉。

あなたのココロとカラダにとって居心地のいい言葉クッションを用意して、どうか今日もご機嫌な一日を。
by mille-ka | 2011-09-10 08:46 | 私の好きな言葉