月刊 茶句里 SAKURI

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合掌

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# by mille-ka | 2016-05-05 23:50 | 曇り時々晴れ

雨水

 旧暦では、2月19日の今日は「雨水」の日。
 「雪散じて水と為る也」の言われるように、水がぬるみ、土が潤い草木が芽生えはじめる頃ですよ、と先人のまなざしが教えてくれます。
 これからいよいよ、春が花開いてゆくのですね。
 みなさんは、今日、どんな春に出会いましたか?

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昨年末に、いつも整体にお越しくださっているSさんがお贈りくださった旧暦のカレンダー「歌こころカレンダー 自然 二〇一六」。毎日顔を合わせて、ときめいています。
いつもの空間のなかに、すっきりと伸びた時間の背骨がそこにあるような、清々しい心地が流れています。(みなさま、いつも素敵なお心遣いをいただきまして、心から、ありがとうございます。)
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お雛様も雨水の日に出すのだそう。一日のお客さまをお見送りしたあとに、お雛様の風呂敷をかけました。

【★】
 私がはじめて二月の「雨水」を知ったのは、詩人の長田弘さんが紹介されていた、木下杢太郎の詩「賀茂川の葵橋の上で」のなかでした。

低い山竝(やまなみ)のつらなりをつつむ
淡い空気の色が、遠くから
やわらいできている。
二月、雨水の頃、
京都賀茂川の葵橋を渡っていて、
思わず、立ちどまった。
空の青さはまだない。
風もまだおそろしく冷たい。
足元から冷えがすーっと上ってくる。
けれども、橋の上から見る
北山の、山ぎわの、色感の懐かしさ。
萌黄色が微かに染みだしている
あわいの季節の、灰青色の景色の慕わしさ。
浅く穏やかに流れてゆく
賀茂川の、さやさや、さやさや
途絶えることなくつづいている水の音。
オナガガモが、群れなして、音もなく
飛び立ってはまた、静かに舞い降りてきた。
わたしは希望について考えていた。
そして、醍醐寺からの帰りに、タクシーの
運転手の言ったことばのことを考えた。
梅の開花が遅れとるようやけど、
言うても、梅のことやさかい、
時季がくると、それなりに、
そこそこは、咲きよるけどな。......
希望というのはそういうものだと思う。
めぐりくる季節は何をも裏切らない。
何をも裏切らないのが、希望の本質だ。
めぐりゆく季節が、わたし(たち)の希望だ。
死を忘れるな。時は過ぎゆく。季節はめぐる。
今夜は、団栗橋角の蛸長に、
花菜(菜の花)のおでんを食べにゆく。


 日々整体に仕えながら、大切に思うのは、立ち止まる時間です。 
 季節に寄り添い、寄り添われ、一日いちにちの景色を味わいながら過ごしてゆきたいですね。
# by mille-ka | 2016-02-19 23:50 | 四季の彩

春の日

 疲れたとき、心がうらさびしく感じられるときには、好きな人の「声」を聴きます。
 音楽、落語、朗読、対談や講演会の音源…
 ごまかしのない人の粋な声を聴いていると、心が安らいで、からだがゆるんでゆくのが感じられます。
 なにをあんなに落ち込んでいたのだろう。いったいどうして泣きたい気持ちになっていたのか。話の内容と一体となって流れるその人の「声」を聴いていると、声にひそむ情動、話し手のいのちの躍動とも言える弾みがマッサージとなるのでしょうか。しぼんでいた心がふくらんで、知らず知らずのうちにこわばってかたく結ばれていた心身がふわりとほどけてゆくのが感じられる。そうして、さっきまでの息苦しさが愛しく慰めに感じられるほど、いつのまにか、明るい心地に浮かんでいます。

 人の声は、波音と同じなんだ。
 解剖学者であり自然哲学者とも呼ばれる三木成夫さんの声がとりわけ好きで、折にふれて三木さんの講演の音源を聴いているうちに、ふと、そんなことを思いました。
 三木成夫さんは、香川県丸亀市の出身。同郷の人だと知ったときには、胸のうちで飛び跳ねるように、嬉しく感じられました。
 三木さんも、きっと、瀬戸内海の波音を聴いていらっしゃったんだ。三木さんのこの声。そう言えば、瀬戸内海の波音の響きが広がっている。
 三木さんの声を聴きながら、私は幼い頃によく遊んだ海辺の波間にたゆたっているのではないか。そう思いました。だから、お声を聴いているだけで、こんなにも心が寛いで、からだがほぐれてゆくんだ。おおげさに聞こえるかもしれませんが、そのとき、私ははっとしながら、妙に腑に落ちたのです。
 人のからだを育んでいるのは、過ごしてきた土地の土、水、風。それから、ふれてきた音の記憶。
 人の声の底には、その人のからだを行き交った土壌の歴史が凝縮されて流れているように思います。

 今日、整体の時間の前に、友人と神奈川県の三浦の地を訪ねました。
 はじめての場所なのになつかしさが充ちてくるのびやかな時間。空の青さ、海のきらめきにからだが溶け込む心地に誘われる眼前の広々とした景色。
 サックス奏者の清水さんが海岸沿いの素敵な場所をご案内くださって、心洗われる時間をいただきました。
 いちにち、清水さんのお声が素晴らしくて、耳の奥で故郷の波音が重なりました。目の前に広がる海から届く波音を聴きながら、なつかしい人の声が浮かんできました。

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これは誤って撮っていた写真ですが…なんだか春めいて、良
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今日は、旧暦では新年のはじまり。三浦の野菜直売所でいただいた、「橙」をお風呂に浮かべて良い一年を願います☆
# by mille-ka | 2016-02-08 23:45 | 曇り時々晴れ

春の足音

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今日も気持ちのいいお天気でしたね。
ふと目を向けると、外堀沿いには黄色いお花が。桜の木々の枝先には蕾がついていました。
寒さはいよいよ本番を迎えるなか、ときの足元では着々と、春の準備が進んでいるようです。
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節分の日を迎え、玄関先で鬼を払ってくれていた豆殻と柊は、無事にお役目を終えました。
これからも、よい日々でありますように.・*
# by mille-ka | 2016-02-03 23:55 | 四季の彩

おもてとうら

 美しい。読み終えた一冊の小説を振り返ったとき、そんな言葉が、ひとつの結晶となって胸のうちに浮かんできました。
 その小説とは、昨年、芥川賞を受賞された羽田圭介さんの『メタモルフォシス』(新潮社)です。
 SMプレイに深入りしてゆく主人公の男性。彼の身体から透けて見える、社会の病。痛みと快感。身体と救済。狂うことと信仰の根っこの違い…いろいろに思いを巡らせています。

 ここ数日間、読後に浮かび上がった「美しい」という感触につかまって、その正体をさぐりながら、整体をしているときにも感じられる「美しい」という感じにも思いを馳せていました。
 視覚によるそれではなく、「美的感覚」なんて名付けられる以前の、触覚的な「美しい」という感じ。
 愛しい。尊い。そんな、いのちに対する憧憬(生物だけでなく、本や小説そのものにも「いのち」があるように思います)と区別なく感じられる、「美しい」という肌触り。その静かできらめいてなめらかな感触を繰り返し心のなかに呼び起こしながら、「痛みそれ自体のなかにある治癒力」というものを考えています。

 余談になりますが、昨年の秋、作家の中村文則さんと羽田圭介さんのトークイベントにうかがいました。
 中村文則さんは、振る舞いがおしゃれでお人柄の奥床しさがにじみ出ている(失礼な言い方を許して頂けば)憧れのお兄さん、という思いがしました。羽田圭介さんは、烈しい発言と謙虚な心根、投げやりな物言いとその裏にある誠実さが、爽やか!握手をしてくださったときのあたたかさと丁寧な物腰に、打たれました。
# by mille-ka | 2016-01-29 23:48 | たんぽぽ考

雪景色

今日は朝から雪景色。
こんなにあたたかくて大丈夫かしら、と地球の体調をうかがっていた今年の冬。昨夜を境に東京はひとっとびに冬一色になりました。
みなさまどうか、今日は特に足元に気をつけて、あたたかくされてお過ごしください。
急な変化には心も体調も乱れがちになりますが、こんなときこそ呼吸をくつろがせて背筋を伸ばして過ごしたいですね。
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部屋の窓から
# by mille-ka | 2016-01-18 10:40 | 四季の彩

新春万福

 新年 おめでとうございます。
 2016年が、みなさまにとって心安らかな、喜びあふれる毎日でありますよう、心からお祈り申しあげます。

 みなさま、お正月はいかがお過ごしでしたか?
 私は、元旦は実家近くの神社に初詣へ。二日には、神楽坂へ戻る前に映画館で「スター・ウォーズ」を観てきました。
 映画の感想は…「大吉!」
 「こんな世界を観てしまってどうしよう」とハラハラするほど臨場感あふれる迫力満天の映像。魅力的なキャラクターたち。ストーリー全体にお腹いっぱいになって、胸のうちは、興奮しつつも、どしんと爽快。
 宇宙を舞台にしたスケールの大きな話のようで、軸足は生身の人間である限り持ち合わせる葛藤や愛情、「血」(親子関係や肉体の限界という意味で)というものにあるところに、なんとも言えず惹かれました。
 これまで、どんな映画が好きかと聞かれると、ひとつの町のなかで話が完結する映画、と答えていたのですが、新年のはじまりから、好みの幅がぐんと広がりました。
 思えば、スター・ウォーズをはじめからおわりまでちゃんと観たのは、はじめてのこと。
 小さい頃には、テレビの日曜洋画劇場で放映しているのをそれとなしに観たことがありますが、今となっては記憶は曖昧。今回、スター・ウォーズの最新作を観たあとに、心を躍らせながら前作までの復習をしていました。
 自分のなかに「好き」の引き出しが増えるって、嬉しいですね。

 今週、整体初めを迎えました。
 年のはじまりに観た映画そのものをおみくじに見立てると…
 「先人の志を受け継ぎ、喜びも悲しみも自分の選んだ道にゆだねて、支えてくれてる人たちと力を合わせて、愛をもって、力強く進んでゆきなさい」
 本年も、整体師として精進を重ねてまいります。

 みなさまもどうか、この一年、よい日々でありますように
 整体とともにあることを、願っております
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お正月に活躍した、干支の箸置き♪
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プライベート用の手帳を新調しました。。
# by mille-ka | 2016-01-05 23:55 | 四季の彩

今年もありがとうございました。

 今朝、肩にタオルをかけて半身浴をしながら、ふと思い出していた話があります。
 それは、いつか読んだ本のなかで河合隼雄さんが紹介されていた、民俗学者の柳田国男氏の『先祖の話』のなかに出てくる大工さんの話です。

 氏の近所に、同じ年のほどの、人間のよくできた気持ちのいい大工さんがいました。
 その大工さんのことを素晴らしい人だと日頃から思っていた氏は、あるときバスの停留場で話しかけたところ、大工さんは「私は死んだらご先祖さまになるつもりなので、安心して生きている」ということを朗らかに言いました。
 その姿に、「この人は死んでからのことまでわかっているのだから、安心しているのはあたり前だ」という風に、氏は感動を覚えたといいます。
 
 河合隼雄さんはこの話を紹介されたあとで、「この大工さんは、自分というものが、死後も含めて世界の中に位置づけられていますから、仏教でいうところの安心立命して生きていられるわけです」と書いておられます。
 今朝は、この話の心に耳を傾けていました。

 今年も、みなさまとのご縁に恵まれ、毎日、整体に仕えることができました。
 たくさんのかたに整体を受けにお越しいただきまして、一年のおわりの今日、あらためて感謝の気持ちでいっぱいでいます。
 また、みなさまからいつもあたたかいお心遣いをいただきまして、心潤うお土産までいただきまして、重ね重ね感謝申し上げます。

 休みの日はいつですか?とよく聞かれることがあります。
 お店をはじめて以来、勉強会や生徒さんたちとの稽古、バリへ先生を訪ねる数日と年末年始をのぞいては、休日は設けていません。
 すべては、整体にむけて。そんな日々の体力は、「死んだらご先祖さまになる」という安心感が源になっているようにも思います。
 
 私にとっては整体との出会いは、偶然。腕は、いただきもの。今でも、その不思議をふと思うことがあります。
 これからも、与えられたすべてに感謝して、自分の土壌を耕し、ご縁あってお会いしているみなさまに、とびきりの整体をお届けできますよう、精進を重ねてまいります。
 その先には、未来の整体師のご先祖さまとなれることをひそかな楽しみにしています。
 
 みなさま、今年も、本当に、ありがとうございました。
 新しい一年も、みなさまにとりまして明るいお顔の毎日でありますよう、心からお祈りしております。

 菱刈 チカ
# by mille-ka | 2015-12-31 22:50 | 整体日和